年末調整とは、会社員のための確定申告のようなものです。
自分の代わりに会社が確定申告をしてくれるのですが、会社は自分のことをすべて知っているわけではありません。そのため、自分にとって必要な控除を受けるために、正確な申告をする必要があります。
「名前だけ書いて出しておいて」と言われて提出されている方もいらっしゃるかもしれませんが、自分が受けた給料に対して適正な税金を払うために、ぜひ内容を理解したうえで記入し、提出していただきたいと思います。
これから数回にわたり、会社から毎月給料をもらって働いている会社員の方が、年末調整書類を受け取って、何を、どのように書いたらよいのか、その書類を提出することで受けられる控除とともに説明したいと思います。
そもそも自分は12月に年末調整を受けられるのか
12月に年末調整を受けられる人は、乱暴に言ってしまえば、会社から「年末調整をしてください」とお知らせされた人なのですが、もう少しきちんと言うと
・年末の時点で会社に所属していて、給料やボーナスをもらっている
・「扶養控除等申告書」を会社に提出している
・年収が2,000万円以下である
という条件を満たしている人が年末調整の対象となります。
今年からの変更点
昨年までも毎年年末調整書類を提出していた方に向けて、今年から変わった点を説明します。
ほぼ全ての人が提出する書類が増えた
2020年の年末調整から、受けられる控除が改正されたことにより、提出する書類もその内容も、昨年からガラッと変わっています。
毎年最低扶養控除等申告書だけに名前を書いて提出すればよかった方も、今年からは、それに加えて基礎控除等申告書も提出しないと、控除できる金額が減り、昨年より徴収される税額が増えてしまうことになります。
ひとり親の控除の幅が広がった
「ひとり親控除」が出来たことにより、以前の寡婦(夫)控除も含めて大幅に受けられる条件などが変わっています。今まで控除が受けられなかったひとり親家庭の方はもちろん、今まで受けられていた方たちも、もう一度自分が控除を受けられる条件に当てはまるかどうかを確認する必要があります。
スマホやパソコンで書類を作成することが出来るようになった
国税庁から、年末調整用の無料のソフトが配布されるようになりました。
保険会社やローン利用の銀行等から、年末調整に必要な書類を連動することまでできますが、なかなか設定などが複雑で時間もかかるようです。
ただ、自分でそのソフトに入力して、クラウドやメール添付などで会社側に提出するだけでも利用できますので、会社から特に指定が無いようであれば、そのソフトを利用すると便利かと思います。
次回は、年末調整により受けられる控除について説明します。