株や不動産を売っていつもより所得が増える年は、ふるさと納税の額を増やすチャンスかもしれません。
ただし不動産を売ったときのふるさと納税には、いくつか注意する点があります。
ふるさと納税とは
ふるさと納税は地方自治体への寄付です。
この寄付額(正確には寄付金額から2000円を差し引いた金額)から一定の率をかけた金額が、所得税や住民税から差し引かれます。

ふるさと納税は税金が安くなるわけではなく、国や1月1日時点で住んでいる自治体への税金を、自分が選んだ自治体へ振り替えることができる制度になります。
ただ振り替えた先の自治体からお礼の品物がもらえるので、その分は「おトク」と感じられます。
ふるさと納税は課税所得や税額に対する上限があります。税額が大きい人は上限枠が大きくなります。
ですから、株や不動産を売っていつもより税額が増えたときは、ふるさと納税額を増やすチャンスといえます。

いつの税金が対象となるの?
株や不動産を売った年の税額が対象となります。
ですからふるさと納税も同じ年の12月中までにしたものが対象です。
ただ実際に税金を計算し把握できるのが、所得税の場合は翌年3月、住民税は翌年6月となるので、ついうっかり忘れてしまうといったことが起こりがちです。
また、不動産の売却の場合は、「売却の日」が2パターンあるため、いつを売却日にするかの問題がでてきます。
不動産の「売却の日」とは
土地や建物の売却の日は、売買契約を交わした契約の日と実際に物件を引き渡した引き渡しの日のいずれかを選択できます。
契約の日と引き渡しの日が12月31日をまたいでしまった場合、税金の計算上、どちらの日を売却の日とするかで確定申告をする年が変わります。
これにともない、その年のふるさと納税の控除上限額も変わってきます。
(参考:所有期間が税率に関係してくる)
売却の日は、不動産の所有期間の計算など、他の制度との兼ね合いもあるので、トータルで考える必要があります。
不動産売却時の特例を使ったときは
ふるさと納税の控除は、納税額があることが前提です。
不動産を売って利益が出ても、特例を利用して税金がかからなかった場合は、ふるさと納税による控除の恩恵はありません。その場合は、寄付した分が自己負担となります。
ふるさと納税の本質は、地方創生や地域への貢献、災害地への復興支援などです。
同時に、寄付することでその地域の特産品をお礼にもらえ、その地方をより身近に感じることができるという楽しみのある制度でもあります。
その一方、多くの人が自分が納めるべき税金の範囲内での寄付を考えていることも事実です。
その場合は、ご自身の納税額や特例の適用状況を確認することが大切です。
計画的なふるさと納税で納得のできる寄付ができれば、寄付する側もされる側も気持ちの良い関係を築けるでしょう。


