自宅を建築したり購入したりするときに、親などから金銭的な援助を受ける場合があります。こういったときの援助は金額が大きくなりがちで、基礎控除の110万円の中に収まりきれないことが多くあります。
贈与税では、要件を満たせば1,000万円まで非課税になる制度が設けられています。
この住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を受けるための要件と、そのうちもっとも大切だと思われることをみていきます。
●贈与を受けた人=自宅を取得した人の主な要件
・贈与をした人の子や孫、ひ孫である(義理はダメ)
・合計所得2,000万円以下
・平成21年以降この非課税制度を初めて受ける
・贈与を受けたときに国内に住所があった
・贈与を受けて取得した自宅に住んでいる(あるいは今年中に住む予定)
●取得した自宅の主な要件
・親や祖父母など親族から購入したものではない
・贈与された全額を業者に払って、今年の3月15日までに購入している(ローンの一括返済などに充てていない) ・建築している場合には今年の3月15日までに新築工事が完了しているか、棟上げまで終わっている
・取得した自宅は、登記簿面積で50㎡以上で、床面積の2分の1以上を自宅として使っている
・購入した自宅の場合は、新築を購入したか、昭和57年1月1日以後に建築された耐震基準に適合した中古住宅である
●適用できる場合の非課税限度額
・「省エネ等住宅」に該当する住宅は、1,000万円
・それ以外の住宅は500万円
●最大の要件は「期限内に申告書を提出すること」
贈与税が非課税となる要件はこれらにもあるので、実際に受けようとする場合は国税庁HPにあるチェックシートで確認してください。 この制度を受けるうえでもっとも大切な要件は「申告期限までに贈与税の申告書を提出すること」だと思います。
毎年税務署から「この非課税の適用を受けるための確定申告書を期限内に提出するよう」注意喚起がされます。おそらく毎年一定数、期限内の提出がされないため非課税にならない事例が発生しているのではないかと思われます。
非課税限度額までの要件を満たした贈与であれば贈与税を払わなくていいことになるので、確定申告書を提出しなければならないと思わなかったのかもしれません。また、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに提出するので、贈与の時期によっては1年近く経ってからの申告となります。所得税の確定申告に比べて贈与税の確定申告はなじみがないこともあり、つい忘れてしまうこともあるのかもしれません。
いずれにしても、「親や祖父母から贈与を受けたが、非課税制度を受けるので贈与税は0円になります」という贈与税の確定申告書を期限内に提出しないと、いっさい非課税とはなりません。非課税となる要件のチェックとともに、「2月1日から3月15日までに贈与税の確定申告書を提出すること」を忘れないようにしましょう。