自宅や賃貸物件、土地などを売却した場合には、売却代金が手に入るとともに、手元から出ていく費用もあります。売却するときは両方のバランスを考え、手元にいくら残るのかを明らかにすることをおすすめします。
●授受する金額
①受け取る金額
物件を売った対価、売却金額はもちろん、売却した後の期間に相当する固定資産税など、契約による精算で受け取るものがあればそれも含めます。
②支払う金額
a.引渡前後に支払う金額
・仲介業者への仲介手数料
・ローン返済金額(売却する物件にローンがあれば)
・登記費用(売却する物件の登記事項に変更があれば)
・測量費や解体費用(売却するために支払うものがあれば)
・引っ越し費用
・印紙税(契約書に貼る)
b.しばらくしてから支払う金額
・所得税住民税(売却により利益が出たら)
・消費税の課税事業者である場合は、消費税
・国民健康保険料介護保険料
●手元に残る金額
上記の①―②で計算します。
①と②のa.は、見積もりなどで把握ができますが、b.の税金は影響が大きいわりに計算が複雑です。
「売却により利益が出たら」税金がかかるのですが、この「利益」は「①―②」で出た手元に残る金額とは違います。
また、国民健康保険に加入している人は、所得に応じて保険料が変わるので、税金を試算することである程度金額を予測することができます。
●後日支払わなければならない税金と保険料に注意
税金は、売却した年の翌年3月に支払うことになります。最大で1年ちょっとのタイムラグがあります。また、申告を税理士に頼むと税理士報酬もかかります。
国民健康保険も所得によって金額が左右されます。国民健康保険料は売却した年の翌年6月頃から支払いが始まります。
これらの税金や社会保険料は、売買契約引渡の一連の流れの中での支払いではなく、売買が終了したあと、しばらくしてからの支払になります。つまり引き渡しが終わって一度現金が手元に来てから支払いまで、少しタイムラグがあります。支払う分を残しておかないと、後になっていざ支払おうとすると手元に現金がない、ということになりかねないのです。
売却時の煩雑なあれこれに気を取られて後日支払う税金や社会保険料を忘れてしまうと、後で思わぬ出費に驚くこともあります。売却のときには税金社会保険料も意識しておくようにしましょう。