NISAは運用益が非課税になる制度として注目されていますが、なかには非課税にならないケースもあります。
令和6年以降の新NISA口座での運用が非課税にならない場合と、あわせてデメリットになる場合もみていきます。
受け取り方法により、配当金や分配金が非課税にならない
株式や投資信託からの配当金や分配金は、所得税と住民税が源泉徴収され、差し引いた金額を受け取ります。
配当金の受け取り方法には次の4つがあります。
①株式数比例配分方式(保有する株数に応じて配当金を各証券会社の口座で受け取る)
②登録配当金受領口座方式(保有する全ての株式の配当金を指定した一つの預金口座で受け取る)
③個別銘柄指定方式(銘柄ごとに指定した預金口座で受け取る)
④配当金領収証方式(ゆうちょ銀行で領収書と引き換えに配当金を受け取る)
NISAは、金融機関のNISA口座内で取引されたものについて、非課税となります。
したがって配当金も、NISA口座で受け取った配当金が非課税の対象です。
②~④は、配当金をNISA口座以外で受け取る方法のため、NISAで買った株式からの配当金でも、非課税ではなくなってしまいます。
配当金や分配金でも非課税としたい場合は、受け取り方法を①の株式数比例配分方式にする必要があります。
海外での税金は非課税にならない
NISA口座の成長投資枠で外国の株式を買うことができます。
しかしNISAで非課税となるのは、あくまで日本の所得税・住民税です。
成長投資枠で外国株式などを購入し、配当金や分配金を受け取った場合、まず現地国で外国税が源泉徴収されます。
この外国税は非課税になりません。特定口座や一般口座では、この外国税による国際的な二重課税を避けるために「外国税額控除」という制度を利用できます。
しかし、NISA口座では日本国内の所得税・住民税が非課税であることから二重課税とはならず、外国税額控除の適用対象外となります。
運用益が非課税になるが、損失の相殺ができない
NISA口座で売買して利益が出た場合は非課税ですが、損失が出た場合、特定口座や一般口座といった課税口座で認められている損益通算や繰越控除といった税制上の優遇措置は適用できません。
NISA口座の損失は、税務上存在しなかったものとして扱われるため、他の課税口座で出た利益と相殺することができないのです。
したがって、NISA口座で損失が発生すると、課税口座で損失が発生した場合と比較して、税金面で損失をカバーする手段がない分、不利になる可能性があります。
NISA口座で購入した株式などが必ず値上がりし、利益が出るわけではありません。
NISA口座で損失が発生すると、課税口座で損失が発生するより不利になる可能性が高くなることに注意しましょう。
NISA制度は運用益が非課税であるというメリットがありますが、「配当金の受け取り方法」や「外国税」といった点で、非課税の恩恵を十分に受けられないケースが存在します。
特に、「損益通算・繰越控除ができない」という税制上のデメリットは、運用計画を立てる上で最も重要な注意点です。
自分の運用スタイルや保有資産の種類に応じてNISAを活用することが大切です。
知らなかったことで後悔しないように、配当金等の受け取り方法の確認や、損失発生時の税務上の取り扱いを理解しておきましょう。
「非課税=万能」ではありません。ご自身のライフスタイルやプランに合わせ、賢く制度を活用していきましょう。

