生前に贈与されたものだけど

生前にもらった財産はすでに自分のものなので、相続財産として把握することを忘れがちですが、相続税の計算の上でも、遺産分割の際にも、遺産として認識しておくことが大切です。

毎年110万円までなら贈与税がかからないけれど…

「毎年110万円までは税金がかからない」というのはよく聞きますが、正確に言うと、「毎年110万円までは『贈与税』がかからない」です。
相続が起こると、その相続開始前7年以内に贈与された財産は、原則として相続税を計算するときに相続財産として加算しなくてはいけません。(※)
たとえ110万円以下の贈与だったとしても、です。
ただし、この相続で財産を受け取らない人の生前贈与額については、考慮する必要はありません。
(※贈与の時期と金額によって相続税額の計算に入れる入れないが異なります)

相続時精算課税制度を選択していたら

相続時精算課税制度を簡単に説明すると、
①原則60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫へ
②届出書を提出したら
③毎年の基礎控除額(110万円)と特別控除額(通して2500万円)までは贈与税がかからない。
④毎年の基礎控除額(110万円)を超えた部分の贈与はすべて相続税を計算するときの相続財産に入れる
という制度です。

2024年1月の贈与から、「相続時精算課税を選択すると、毎年110万円までの贈与は、相続時にも相続財産として計上しなくてよい」ことになりました。
「節税になる!」として選択される方も多くなると予想されていますが、④の部分に注意が必要です。
相続時精算課税制度は、毎年110万円を超える贈与については、7年以内だろうと100年経っていようと、超えた部分は相続財産として計上します。

以上は相続税の計算の際、生前の贈与分を計算に入れるかどうかの話ですが、遺産分割については関係ありません。

遺産分割は、相続関係者にとって公平不公平の観点で話し合われるものですので、
生前の贈与はなかったものとして相続財産を認識しようとすると、揉める可能性が高まってしまいます。

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