相続で財産をもらったから確定申告が必要ですか?

「今年相続で財産をもらいましたが、3月に確定申告が必要ですか?」
この時期になると多くなる質問です。
手元のお金が増えたから申告が必要では、と考えるのも無理はありません。
結論から言うと、基本的に相続で財産をもらっただけでは、毎年3月の所得税の確定申告は不要です。

贈与や相続でもらった財産と所得税

現金や不動産など財産を無償でもらった場合、それは所得税ではなく贈与税や相続税の対象です。
もらった財産を年末までそのまま持っていれば所得税はかかりません。
たとえば自宅を相続して住み続けていれば、所得税の確定申告は不要です。
同様に、現金や預金を相続でもらったときも、確定申告は不要です。

もらった財産を活用して利益を得たら

もらった財産を利用したり、売却して利益を得た場合は、所得税の対象になります。
たとえば相続した賃貸不動産から家賃収入を得たり、相続した土地を売ったら、所得税の対象になります。
相続した株を売った場合も同様です。
このように、相続した財産からあらたに利益が発生したら、所得税の確定申告が必要になります。

相続直後に売却で使える2つの特例

相続で得た財産を売却した場合、税金を軽減できる2つの特例があります。

①相続空き家の3,000万円の特例
被相続人が一人暮らししていた家屋を相続し、すぐに売却して利益が出た場合は、
自宅を売却したときと同じ3,000万円の特別控除が受けられる可能性があります。
(→参照:自宅を売って利益が出た場合の特例3選

特例を受けるには、いくつかの要件があります。
・被相続人が一人暮らしをしていた家屋が古いもの(昭和56年5月31日以前に建築されたもの)である(マンションは不可)
・相続人による売却である
・相続してから3年10か月以内の売却である
・売却代金が1億円以下である
上記に当てはまれば、この特例が受けられる可能性があります。
しかし、これら適用を受けられるかどうかの判定や手続きはとても複雑なので、この特例を考えた場合は税理士に相談をしましょう。

また、この特例の適用には自治体発行の証明書など必要な書類の準備があります。
ですからこの特例を使おうと思うときは、早めの準備が必要です。

②相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続から3年10か月以内に、相続した不動産や株式など財産を売却した場合、売却金額からマイナスできる取得費に、その財産にかかった相続税額を加算できる特例です。
(→参照:取得費の計算4つのパターン

この特例の適用についてもその判定や手続き、計算は複雑です。
税理士に相談することをお勧めします。

相続後は手続きが多く、混乱してしまいがちです。
ざっくりと、「相続で自分のものになった財産を、自分の判断で利用、売却したときは3月の所得税の確定申告が必要になる可能性がある」と考えてください。
そして、不安であればぜひ税理士などに相談しましょう。

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