コラム相続

相続税節税のカギ 二世帯住宅に住む

親子が二世帯住宅で同居していると相続税の節税になる可能性があるとよく言われます。これは「小規模宅地等の特例」の適用により相続税評価額が80%減額されることによります。制度の概要は「小規模宅地等とは?」で述べていますが、二世帯住宅に焦点を当てて具体的な適用を見ていきます。

●小規模宅地等の特例のおさらい

相続税額を抑えるためには相続税評価額を低くすることが有効となります。
相続財産の中に土地がある場合、この土地の相続税評価額を減額する制度として小規模宅地等の特例があります。この特例のうち、被相続人の住んでいた自宅に対して適用できる場合の主な要件は次の通りです。

要件 被相続人所有の土地に被相続人が自宅として居住している
   被相続人が居住していた「一棟の建物」を
   相続開始直前まで居住していた「親族」が相続により取得し
   相続税申告期限まで所有している
これらの要件を満たすと、土地の相続税評価額が80%減額されます。

●二世帯住宅で同居のカタチ

二世帯住宅をこれから建てるとき、どのような住宅を建て、どんな同居の仕方をすればいいのかを考えながら、ハウスメーカーや工務店を探したり、打ち合わせをすることになります。
相続税節税を意識して二世帯住宅を建てるときは、小規模宅地等の特例の要件のうち、「一棟の建物」に注意します。
この「一棟の建物」は具体的な形状が決められているわけではなく、外から見て一つの建物になっていればいいようです。ですから2つの建物が渡り廊下のみでつながっている状態だと問題になってくるかもしれません。
この「一棟の建物」に親子が住んでいれば特例の対象になるのですが、完成して登記をする際、この建物を親と子で区分所有登記した場合は、小規模宅地等の特例の適用ができなかったり、適用が限定的になってしまいます。
完全に独立した二世帯住宅に住もうと考え、建物全体にあたる部分の土地を特例の対象にしたいと考えるのであれば、建物の登記を親や子の単独登記か、区分所有登記ではなく親子の共有での登記にしましょう。

●土地と建物の所有関係

被相続人が持っている土地に対して小規模宅地等の特例が適用されるのですが、その上に建っている自宅は、親である被相続人の所有でも同居する子の所有でもどちらでも適用対象となります。ただし、同居する子の所有であった場合は、親に土地の使用料を払っていないことが前提となります。多くの場合、親子で使用料の授受はないと思われますが、知っておいて損はないと思います。

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