自宅を売却したときの所得が3,000万円以下であれば、居住用3,000万円の特別控除を使って税金の負担を減らすことが考えられます。
一方、旧自宅を売却して新しく自宅を買い換えたときに、新しい自宅には住宅ローンを組んでいることもあります。その場合、新居には住宅ローン控除を使いたいと考えるでしょう。
しかし、同じタイミングで両方の特別控除は使えないのです。
●新居購入より先に自宅を売却している場合
新居を購入するより前に先に自宅が売れて所得が出たとき、その所得に3,000万円特別控除や軽減税率を適用すると、その後約2~3年の間の自宅購入に対して住宅ローン控除を適用できません。3,000万の特別控除や軽減税率を適用するのと、その後予定している住宅ローン控除を適用するのとで、どの程度の税額の差があるのか事前に試算する必要があります。
●新居に引っ越した後、旧自宅を売却した場合
新しい自宅で住宅ローン控除を適用し、適用した年の翌年以後3年以内に旧自宅を売却して所得が出る場合もあります。このときも、売却した旧自宅で3,000万円特別控除や軽減税率を使うことができません。
しかし、新自宅を買う時に住宅ローン控除を使うより、その後売れた旧自宅に対して3,000万円特別控除や軽減税率を適用した方が有利だということが分かった場合には、適用を受けている住宅ローン控除を取り消して(修正申告書を提出)、減税された分の税額を納付してから、3,000万円控除や軽減税率を適用する確定申告書を提出する必要があります。
●特に新居購入より先に自宅を売却している場合は注意
住宅ローン控除を適用している間に、3,000万円控除や軽減税率の方が有利だったと分かった場合は、住宅ローン適用期間中の修正申告書を提出することで3,000万円控除や軽減税率を適用することが可能ですが、逆の場合は、3,000万円控除や軽減税率を取り消して住宅ローン控除を適用することができません。旧自宅の売却が先行するときは、有利となる特例を慎重に考慮する必要があります。
●住宅ローン控除の所得制限に注意
住宅ローン控除の適用要件に「その年の合計所得金額が2,000万円以下」というものがあります。3,000万円特別控除を選択しなかったとしても、自宅を売却したことによりその年の所得が多くなった場合には、売却した年の住宅ローン控除が受けられないこともあります。