相続税贈与税にはいくつか税が優遇される制度があります。
そのうち確定申告書を提出しないと優遇されない代表的なものについてみていきます。
●住宅取得等資金贈与税の非課税
前回のコラムで書いた住宅取得等資金贈与税の非課税制度は、
申告期限内に確定申告書を提出することで非課税となります。
3月15日の申告期限を過ぎると、その後にあわてて確定申告書を提出しても非課税とはならないので、
くれぐれも注意しましょう。
●配偶者の税額軽減
この規定は、原則申告期限までに配偶者が受け取る遺産が確定していれば、
1億6千万円か法定相続分のどちらか多い金額までは配偶者の相続税がかからないというものです。
例えば配偶者のみが1億6千万円以内の遺産を受け取るため相続税を払わなくてよかったとしても、
相続税は0であるという申告書は提出しなくてはいけません。
こちらは期限内の確定申告だけでなく、期限後の確定申告でも受け付けられます。
気が付かずに申告期限が過ぎてしまっていたら、すみやかに期限後申告書を出すようにしましょう。
●小規模宅地等の特例
この規定は、一定の要件を満たした土地の評価額が最大8割減額される制度です。
こちらも配偶者の税額軽減と同じように、対象となる土地を誰が取得するかを
決めていることが適用される要件となっています。
そして同じく、相続税は0であるという申告書を提出しなくてはいけません。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が適用されることで
相続税を払わなくてすむ相続人は多いようです。
国税庁の2023年分の資料によれば、申告書を提出した相続件数の約2割が
相続税額がなくても申告書を提出しています。
その多くが配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用していると思われます。
優遇規定により相続税が0だったとしても、
それは財産の総額を計算し申告書を提出することにより0になることを理解し、
申告の準備をすることが大切です。