相続がおきたら「まずはこれ」をする

大切なご家族が亡くなった後は、多くの相続に関する手続きが必要となります。
やることがあるというのは気がまぎれる側面もありますが、何から手を付けていいのかわからず途方に暮れる場合もあります。
そんなときは「まずはこれをやる」という手続きを把握しておくと、とりあえず行動を開始することができます。

●亡くなった人の戸籍を集める

誰が相続人であるかを把握することが第一歩です。
この後の手続きの多くで、相続人であることを証明する書類が必要となります。
被相続人と相続人の戸籍謄本を集める手続きを始めましょう。
また、法定相続情報図を作成するとその後の諸々の手続きが楽になります。
これらは司法書士に代理を依頼することもできます。

●遺言の有無を確認し、ある場合は手続きを始める

遺言があれば、基本的には遺言に従って遺産の分割を行います。
遺言の手続きは、その種類によって変わります。
・公正証書遺言の場合
 公証役場に請求する
 公正証書遺言はすぐ開けて手続きを始める
・自筆証書遺言の場合
 遺言を見つけても開封しない
 家庭裁判所で検認の手続きをする
 法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した場合は、法務局に請求すると検認の手続き不要で受け取れます。

●亡くなった人の遺産を把握し、整理を始める

まずは被相続人に借金があるか、あればいくらくらいあるかどうかを確認します。
もし被相続人の借金の額が遺産より多い場合には、借金のみ相続することになってしまうので、相続の放棄をするという手段をとることができます。
この相続の放棄は、亡くなってから3か月以内に家庭裁判所に申請する必要があるため、早めの判断を求められます。

その後、銀行口座や証券会社、保険会社、不動産の登記情報などを把握していきます。

●相続税の申告が必要かを試算してみる

相続税の申告書は、亡くなってから10か月以内に提出する必要があります。
大まかに財産額が把握できたら、相続税の申告が必要か試算してみます。
可能性があれば、申告の準備を始めます。→「自分たちに相続税はかかるのか」
これは税理士に依頼することも可能です。

●相続人が複数いる場合には、遺産分割協議をしていく

遺産分割協議自体に期限はありません。
ただし、この遺産分割が相続税の特例の適用有無やその結果の相続税額に影響を及ぼすことがあります。
ですから相続税の申告が必要なようであれば10か月以内に分割協議がまとまることが望ましいです。
分割の方向性(金額を平等にするや財産の種類ごとに決めるなど)を確認し、場合によっては専門家に相談することも検討しましょう。

相続は人生で何度も経験するものではないため、多くの方が戸惑われるのは当然のことです。
特に相続放棄の判断(3か月以内)と相続税申告の要否(10か月以内)という期限のある手続きには注意が必要です。これらを見落とすと、後々大きな問題となる可能性があります。
相続手続きは複雑で、ご家族の状況によって必要な対応も大きく異なります。少しでも不安を感じられた場合は、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。