2024年に新NISAが始まり、NISA口座を開設する人が増えました。
これにともない、今後NISA口座にある株などを相続する人が増えてくると予想されます。
相続ではどのような取り扱いになるのか、見ていきましょう。
NISAとは
通常証券会社などで開設する課税口座(一般口座・特定口座)では、株や投資信託を売却して利益が出ると、所得税や住民税がかかります。
また、配当を受け取った場合にも、その受け取った配当に対して所得税や住民税がかかります。
しかし、NISA口座で投資した株や投資信託から得られる利益にはこれらの税金がかかりません。
運用益に税金がかからないことから、「お得な制度」として一気に注目を集めました。

このNISA口座で運用している株や投資信託が、高配当だったり順調に値があがっている銘柄の場合、そのまま相続して運用したいと考えるでしょう。
ではこのNISA口座にある株や投資信託などの金融商品は、相続によりどう引き継ぐのでしょうか。
NISAでの相続税評価の扱い
まず、NISA口座にある株や投資信託は相続財産として相続税の対象となります。
これらの商品は課税口座にある商品と同じ方法により評価します。
つまり相続税に関してはNISA口座で運用していても、特別な税金の恩恵はありません。
相続した後どうなる?
被相続人のNISA口座は、死亡と同時に閉鎖の手続きが必要になります。つまり、被相続人のNISA口座は引き継げません。
NISA口座で運用していた株や投資信託は、遺言や遺産分割にもとづき相続人の課税口座に移されます。相続人がNISA口座を有していても、そのNISA口座には移管できません。
また被相続人が亡くなった後も、タイミングによっては配当や分配金が被相続人のNISA口座に入ることがあります。しかし亡くなった後の配当や分配金は課税となり、20.315%の税金がかかります。
相続した株などを売却したら?
被相続人のNISA口座から相続人の課税口座に引き継いだ株や投資信託を、相続人が売却する場合があります。
そのときの取得費は相続発生日の時価となります。
一方で、被相続人の課税口座にあった商品を相続した場合はどうでしょうか。
この場合は、被相続人が購入したときの価格を、そのまま取得費として引き継ぎます。
つまり、被相続人がNISA口座で購入した銘柄が値上がりを続けている場合、相続人が売却するときの所得税・住民税に有利に働きます。

NISAの非課税メリットは、あくまでも口座を持っていた本人に限られます。
相続後は通常の課税口座に移されるため、運用益や配当には税金がかかります。
ただ、値上がりし続けている銘柄を引き継いだ場合には、相続時点の時価が基準となるため、売却するときの税負担が軽くなるケースもあります。
つまり、NISAの非課税メリットは相続できないが、相続後の売却では恩恵があることもあるということになります。