今まで相続税や所得税の制度やしくみなどについて書いてきましたが、
そもそも「税金ってなに?」といったことはネットなどでもあまり書かれてはいません。
税理士の仕事の一つに、各地の学校での「租税教室」という出張授業があります。
昨日は渋谷区内の中学校での租税教室でした。
50分の授業で、前半は「税ってなに?」とか「どうして税ってあるの?」を説明します。
まず税金はどんなところに、いくらくらい使われるのかを、生活に即したところから説明します。
具体的には、国民一人あたり警察や消防などにいくら、ごみ収集にいくら、社会保障にいくら税金が使われている、と数字を使って説明します。
それから税金の集め方やその使い道は国会で国会議員の採決で決まるのだけど、その国会議員を選んでいるのは国民であること、私たちの意思を反映させる方法は選挙なんだということも説明します。

授業前半の最後で今年の国家の歳入歳出の中身をざっくり説明します。実は税収は歳入の3分の2くらいで、あとは国債(国の借金)を発行して賄っているのですよね。

授業の後半で模擬選挙をします。
前半で説明したことを踏まえて、自分たちで架空の候補者に投票をしようというワークです。
自分たちが住んでいる町の課題が設定されていて、3人の候補が課題解決の方法とその財源を確保するための税金の集め方をうったえています。中学生はその主張を読み、実際に投票してもらうといった内容です。
中学3年生は14歳か15歳。多感なお年頃ですから、大人に対してちょっと斜に構えていることもあります。
でも投票の前の、班になって各候補の主張の長所と短所を話し合ってもらうときは、授業の印象とは違って真剣に候補者の主張について考える子が多いです。
最後は実際に投票して当落も決めます。
自分が投票した人が当選することも落選することもあります。
投票自体は生徒会などで経験はあると思いますが、国会議員や地方議会の議員を選ぶポイントなどがイメージできると、選挙をもっと身近に感じてもらえるかなと思っています。
彼らが選挙権を得るまであと数年。自分ごととして選挙を感じてもらえたらと期待しています。