相続そのとき

相続財産からマイナスできる借金や葬儀費用

借入金は相続財産から引くことができる、と聞いたことがあるかもしれません。借金は歓迎されるものではありませんが、銀行や他人から借りた借入金以外にも、債務として相続財産の計算からマイナスすることができるものはあります。

相続がおこったあと数か月は、亡くなった人が支払うべきものを相続人が支払う場面が多くあります。このような支払いを未払金といい、これらも相続財産の計算からマイナスすることができます。

また、葬式費用についても、同じようにマイナスすることができます。

細かく見ていきましょう。

①住宅ローン
亡くなった方がその時点で支払うことが確定している債務が対象となります。
借入金として一番始めに思いつくのは住宅ローンかもしれません。
ただ、金融機関から借り入れる住宅ローンは、一般的に債務者が死亡した時にはローン残高がゼロになる団体信用生命保険の加入を同時にすることが多いです。したがって、死亡と同時に住宅ローンはなくなる方が多いのではないでしょうか。
つまり、団信に加入している場合には、住宅ローンは債務としてマイナスすることはできませんので、注意しましょう。

②病院などへの後払いの医療費
亡くなる直前まで医療機関や介護施設にお世話になる方も多いと思います。それら病院や施設から亡くなった後に請求書が届き、相続人が支払をする場合は、未払医療費としてマイナスすることが出来ます。

③事業を行っていたり、アパート経営をしていた場合
事業を行っている場合に、地元の金融機関などから借り入れをしており、残高がある場合もあるでしょう。投資用不動産を持っていたり、アパート経営していれば、アパートローンが残っている場合もあります。
こちらも団信に加入して、死亡と同時にローン残高がゼロになる場合を除き、残高分を債務として相続財産からマイナスすることができます。
また、アパート経営などで、入居者から敷金などを預かっている場合には、それらもマイナスすることができます。買掛金など支払が終わっていないものも同じです。
事業を経営しているときは税金の支払いが付きものです。源泉所得税や消費税も亡くなった時点で未納の場合は債務に該当します。相続財産からはマイナスできますが、当然ながら期限までに納付するようにしましょう。

④固定資産税や住民税などの税金
固定資産税や住民税を分割して支払っていれば、まだ払っていない分は未払の税金としてマイナスすることができます。納付書を探してみましょう。

⑤公共料金
電気・水道・ガスなどの公共料金で、生前の期間の分の支払は未払金となります。
もちろん亡くなった後の期間は対象とはならないので、期間には注意しましょう。

⑥葬式費用
債務ではありませんが、葬儀にかかった費用もマイナスできます。
間違えやすいのは、香典返しの費用、四十九日法要の費用です。これらは葬式費用としてマイナスはできません。(逆に受け取った香典は相続財産に計上しません)

葬儀に関わる費用は領収書を取っておきましょう。お寺での葬儀など、場合によっては領収書が出ないことがありますが、支払いの日付と金額、相手先と内容をメモしておくことで記録になります。葬式費用だけに限りませんが、亡くなった前後の期間はお金の入出金はきちんと管理しておくことをおすすめします。

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