贈与したつもりなのに実は贈与になっていなかった贈与したつもりはないのに贈与税がかかってしまった

相続対策と聞くと生前贈与を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし贈与はシンプルなようで、思わぬ落とし穴もあります。

●孫の銀行口座に送金しているけど贈与にならない

孫のためにと、孫の名義の銀行口座を作って、コツコツと贈与してあげる方は多いのではないでしょうか。
この方法では贈与と認められないケースがあります。

①孫がその預金口座の存在を知らない
②キャッシュカードや暗証番号などを孫が管理していないので、孫は自由に使えない

上記のような状況の預金を「名義預金」といいます。
これは名義は孫でも、実質的には贈与した(つもりの)人が管理している預金です。
名義預金があること自体に問題はありませんが、「孫に贈与している」ことにはなりません。
このため相続が発生したときに、孫の財産ではなく、贈与した(つもりの)人の財産として計算されます。
また名義預金の存在は相続人にも知らせておかないと、意図せず財産の申告もれにつながる可能性もあります。

●配偶者の保険料をはらうと受取時に贈与となる

たとえば、夫が妻のために、妻が60歳になったら保険金が下りるタイプの保険の保険料を払っていたとします。
この場合、妻が60歳になって満期保険金を受け取った時に贈与税の対象となります。
なぜなら夫が支払っていた保険料がもとになっているからです。
ちなみに夫が払っていた保険料が生命保険料控除の対象となる場合、
年末調整や確定申告で保険料控除として申告できるのは、実際に保険料を支払っていた夫の方です。

●親の家のリフォーム代を子どもが出すと贈与の対象に

親と同居するために実家をリフォームしようと考えて、親所有の家を子がリフォームするケースもよくあります。
しかし、このリフォーム代も贈与の対象となります。
もちろん110万円以内のリフォームであれば贈与税はかかりません。しかし家のリフォームとなるとかなりの金額がかかります。
もし贈与にあたることを知らずにそのまま工事をすすめてしまうと、あとから思わぬ贈与税が請求される可能性もあります。
この場合は、建物を子に贈与してからリフォームをするなど、何らかの対策を検討する必要があります。

「贈与したつもりが自分の財産のままだった」「贈与のつもりはなかったのに贈与税の対象になってしまった」といったことは、相続がおこったときに判明することが多いのが現実です。
次世代へ気持ちよく財産を残すために、正しい知識を身につけましょう。