コラム

大学生の子どもがアルバイトをした場合の税金の改正【2025年】

アルバイト収入が増えると親の扶養からはずれてしまう「103万円の壁」。子どものアルバイト収入が103万円を超えると親の手取りが減ってしまい、このことが学生の就労調整の原因の一つと言われてきました。
この「壁」が2025年の改正で大きく変わり、大学生とその親にとって働きやすい環境が整ってきています。
今回は大学生のアルバイトに関係する改正のポイントを説明します。

●そもそも103万円の壁とは?

改正前は、大学生の子どものアルバイト収入が103万円を超えると、以下のような影響がありました。
①本人に所得税と住民税がかかり、
②親の「特定扶養控除(63万円)」が適用されなくなり、親の税負担が増える。
③結果として、世帯での手取金額が減ってしまう
このことにより学生の中には103万円を超えないように仕事をセーブする人もいました。

●2025年度改正のポイント

大学生のアルバイト収入にかかわる改正にはおおきく3つあります。
・給与所得控除の改正
・基礎控除の改正
・新しい制度「特定親族特別控除」の創設
これらの改正により、大学生はいくらまで扶養内で働けるようになったのでしょうか。

●年収160万円までは所得税がかからない

まず、以下のように控除額が引き上げられました。
・給与所得控除:年収190万円までは65万円
・基礎控除:年収200万円までは95万円
これらを合わせることにより、年収160万円までは課税所得がゼロとなり、所得税がかからなくなります。

●扶養の範囲が123万円に

次に上記の改正に伴い、扶養控除を受けられる要件が引き上げられ、合計所得58万円以下になりました。この結果、大学生の子どもの年収が123万円以下であれば、親が「特定扶養控除(63万円)を受けられるようになりました。

●特定親族扶養控除により150万円までは実質扶養内に

さらに、一定の収入を超えるといきなり特定扶養控除がなくなる現象を緩和するため、特定親族扶養控除が創設されました。これにより大学生の子どものアルバイト収入が123万円を超えて扶養をはずれても、150万円までは親に特定親族扶養控除63万円が適用されるようになりました。その結果、実質150万円まで実質扶養の範囲内で働くことができるようになります。
この特定親族扶養控除の額は、子どものアルバイト収入の増加により段階的に減少するようになっています。このため、配偶者特別控除と同じように世帯手取り額の逆転がおこりにくくなっています。
ちなみに特定扶養控除、特定親族扶養控除はいずれも年末時点で19歳以上22歳未満の親族が対象です。現役で入学した大学生のうち早生まれ(1月~3月)の人は対象にならないことに注意が必要です。

●社会保険料の壁は以前と同じ

社会保険料の壁は、106万円、130万円です。106万円はアルバイトをしている会社によって、130万円は全員が社会保険料を天引きされることになり、親の健康保険の扶養からもはずれます。130万円は特定親族扶養控除63万円の範囲なのですが、社会保険料がひかれるので、実際には手取りが減ります。

賃金があがったり、物価高や奨学金返済のため学生のアルバイト収入は増える傾向にあります。壁となる制度は緩和されましたが、社会保険料の壁は変わりません。
学生のころから税金や社会保険料の仕組みに触れておくことは将来にもきっと役に立ちます。保護者の方と一緒に無理のない働き方を考えるのもいいでしょう。

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