相続で財産を受け取ることは喜ばしいことですが、その裏で「相続税の支払い」という大きな課題が待ち受けていることをご存知でしょうか?
「相続でたくさん財産を受け取ったけど、納税資金がたりない・・・」
このような事態に陥らないよう、事前に準備をしておきましょう。
●相続税は原則として現金で支払う必要があります
相続税は相続開始から10か月以内に、原則として現金で支払う必要があります。
延納(税金の支払いを延ばす)や物納(金銭以外で納める)といった選択肢はありますが、これらには事前の手続きや厳格な条件が伴います。
・延納:事前の申請や手続き、担保が必要。また利子税の納付も必要
・物納:事前の申請や手続きが必要。また、物納可能な資産が限られている
これらのことを鑑みると、スムーズな納税手続きのためには、十分な現金や換金性の高い資産を準備しておく方が賢明です。
●納税資金を確保するための方法
①計画的な貯金
将来的な相続税の概算額を見据えて、コツコツと準備します。
・被相続人が準備する場合:その貯蓄額自体も相続財産として課税対象となる
・相続人が準備する場合:相続財産の対象にはなりませんが、相続人自身の責任で貯蓄する必要がある
・実際に相続開始時に残っているか、換金性の高い資産のままであるかは相続人次第
②生前贈与の活用
被相続人から相続人へ計画的に生前贈与を行うことで、納税資金を徐々に移転できます。
・年間110万円までの贈与は非課税(暦年課税)
・複数年にわたり計画的に行うことで、税負担を抑えながら納税資金の準備が可能
・ただし相続開始前7年以内の贈与は相続税の課税対象となる場合があるため注意が必要
・貯金と同様、生前に相続人のものになるので、相続開始時に残っているかなどは、相続人次第
③生命保険の活用
納税準備確保の手段の1つとして死亡保険金を活用する方法があります。
・法定相続人1人当たり500万円までの非課税枠の活用
被相続人=契約者、保険料の支払者、被保険者
相続人=保険金の受取人
という関係でかけた死亡保険金には非課税枠がある
・相続人ごとに保険金受取人を設定することで、納税負担がある相続人に効果的に資金を届けられる
・死亡保険金は手続き後にあまり時間を置かずに入金があるので安心感がある
●生命保険金は揉めたときの対策にもなる
死亡保険金にはほかのメリットもあります。
相続人が受け取った保険金は相続人固有の財産となるので、遺産分割の対象からはずれます。
相続人間で揉めてしまったとしても、受け取った保険金分は資金の確保ができるわけです。
納税資金を準備する第一歩は、「いくらくらい準備すれば安心なのか」を知ることです。
→遺産の金額をざっくりと把握
上記を参考に計算することも可能です。
しかし、難しいと感じられたり、専門家ならではの試算とそれに伴うアドバイスをご希望であれば、当事務所で承っております。
相続を考えたら