小規模宅地等の特例は、被相続人と同居していた相続人の相続税を軽くする制度です。
では同居していなければ、小規模宅地等の特例は受けられないのでしょうか。
実はそうとも限りません。いわゆる「家なき子特例」という制度があるからです。
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たとえば次のような場合に適用されます。
・父がひとり暮らしをしていて、長男は海外赴任中で国内に自宅がない
・母がひとり暮らしをしていて、長女は転勤で社宅に住んでいた
持ち家がないために、相続後は実家に住まざるを得ないとか、たまたま同居できないタイミングで相続が発生してしまった人を救済しようという趣旨で作られた制度だと考えられます。
「家なき子特例」が過度な節税に使われた時期も
ところがこの制度は、実際には節税策として利用されるようになりました。
・将来相続する予定の人が、あらかじめ自宅を家族に贈与しておく(相続時に持ち家がない状態にしておく)
・5歳の孫に、遺言で被相続人の自宅を遺贈する(孫にはもともと持ち家はない)
このように、形だけ「家なき子」の状態を作って特例を利用する方法が広まり、書籍やセミナーなどで大々的に紹介されることもありました。
そこで制度の趣旨に合わない節税を防ぐため、現在では家なき子の要件は次のように見直されています。
いわゆる「家なき子」に該当する主な要件
・被相続人に配偶者がいないこと
・被相続人と同居していた相続人がいないこと
・受け継ぐ人が、相続開始前3年以内に自己、配偶者、3親等以内の親族(おじや兄弟など)が所有する家屋に住んでいないこと
・受け継ぐ人が相続開始時に住んでいる家屋を、過去に一度も所有したことがないこと
・受け継ぐ人が、相続税の申告期限までその宅地を所有していること
このように形式的に家なき子になっておくような節税手法はできなくなっています。
「家なき子特例」に該当するのはどんなとき?
これから家なき子特例が適用できそうな例をあげてみましょう。
・母がひとり暮らしをしていて、長女は仕事の都合で会社近くの賃貸住宅に住みながら介護をしていた
・父はひとり暮らしをしていて、長男もすでに別の場所で所帯を持ち、孫も成人して独立している。そのような状況で相続が発生し、父の家を孫が受け継ぐことになった
高齢化がすすむ中、仕事を続けながら介護をし、将来は実家を受け継ぐつもりでいる方も少なくありません。相続の時点で孫が成人して独立していても、都市部の住宅価格は高騰していて簡単には手に入らないのが実情です。そのため「祖父の家を受け継ごう」という選択も決して不自然ではありません。
ただし、孫が家を受け継ぐ場合、相続税には2割加算という制度があります。税負担については慎重に検討する必要があります。
まとめ
同居していないからといって、小規模宅地等の特例が受けられないわけではありません。ただし、過去にいきすぎた節税に使われた経緯があるため、要件を満たしているか、どのような添付書類が必要かなど、慎重に確認する必要があります。
「うちは当てはまるのかな」と思われた方は、ぜひ一度税理士にご相談ください。

